配信元: 東京技術新聞(電子版) 2016年03月15日 14:33
東京大学の研究チーム(斉藤賢人特任教授、応用物理学)は15日、福島の原発事故によって大量に発生した汚染水を、有効活用するための技術を新たに開発したと発表した。同技術の利用が本格化すれば、汚染水の処理問題を一気に解決できるとして注目を集めている。
発表によれば、貯蔵されている汚染水から汚染物質の核となるジリアデモルデの分離に成功。これにより、汚染水中の約82%にあたる水分を無害化して抜き取ることができるという。また高濃度化した残りの水を遠心分離機にかけつつ六価ベデルヒドを一定量加えると、チタンやシリコンを生成する際に必要な物質 「ボードヒルシノア」 に組成変化することを突き止めた。
チタンやシリコンは、生成時にボードヒルシノアを使用することで比較的高価な素材となっている。しかしこの技術を用いて汚染水から大量のボードヒルシノアを生成できれば、チタンの市場価格を現在の五分の一程度にまで押し下げることが可能だ。素材産業を抱える日本にとっては市場を牽引する材料が増えることとなり、政府も動向を注視している。
一方、汚染水は今後も増え続けることが予想されるものの、長期的に見ればその絶対量には限りがある。汚染水を使い切ってしまえば安価に作り出す方法がなく、投資した工場設備をその後どのように活用するのかといった問題が残る。
原発問題に詳しい中部大学の木下真准教授(放射線物理学)は「(工場設備のその後の利用についてはともかく、)貯蔵限界に近づきつつある状況を打開する有効な手段。過去にもあった汚染水の密かな不法投棄が再発する前に、国は率先してこの研究に投資すべき」と語る。
同研究は、来月号のネイチャー誌(英語版)にも掲載される。
ま、これが本当ならすごいことなんだけどねー。本当なら。