2020ボランティアと「おもてなし」

東京五輪ボランティア募集要項が決定 宿泊費支給せず10日以上8時間活動変わらず 応募促進ムービーでやりがい訴求

[記事] 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が東京五輪の運営に携わる大会ボランティアの募集要項を決定した。これに合わせ、日本財団ボランティアサポートセンターは12日、応募を促進するためのPR動画を公開した。

組織委員会が募集する大会ボランティアは8万人。3月に発表した募集要項案では、ボランティアの活動期間は10日間以上で、1日8時間程度としていた。また、ユニフォームや活動中の飲食、ボランティア活動向けの保険は支給されるものの、東京までの交通費と宿泊費は自己負担。事前の説明会や研修にも合計2回参加するよう定めており、ボランティアの負担が大きいとの批判があがっていた。

組織委員会は、有識者による検討委員会をはじめ様々な人の意見も踏まえて検討。決定した募集要項では、期間中10日間以上、1日8時間程度は変わらず、1日の活動時間について「休憩・待機時間を含む」という文言が追加された。交通費については、「滞在先から会場までの交通費相当として一定程度」を支給すると明記。ただ、東京までの交通費と宿泊費はこれまでどおり自己負担となる。組織委員会は、7月下旬からボランティアの募集キャンペーンを開始し、9月中旬から応募登録の受け付ける。

http://news.livedoor.com/article/detail/14853573/


難しい問題だ。給料を少しでも支払ってしまうと雇用になりかねず、雇用となれば最低賃金を守らねばならない。要はボランティアと雇用の差が激し過ぎるのだ。

ボランティアは無償奉仕が基本。しかし東京という土地柄を考えると、参加者にどうしても経済的負担がのしかかる。

「交通費補助の目的で全員に一定額の物品を提供」とのことだが、交通費は一部ではなく全額現金で補填した方がよい。まぁ、全額支払いが可能なエリアは限定しなければならないだろうが。

 そもそも東京五輪は海外に対し、『おもてなし精神』をアピールしてきた。ところがボランティアは1日8時間労働が強いられ、滞在場所も提供されないという。

腹を空かせて何もかも自腹となれば、さすがに『おもてなし』のクオリティにかかわる問題ではなかろうか。

もちろん、あくまでもボランティアだ。それは分かる。しかし先の韓国・平昌五輪で報じられた諸問題を見ても明らかなように、五輪ボランティアにはある程度の待遇を約束すべきだ。

そして最大限の「おもてなし」を実現できる体制を整えるのは、やはり組織委の責務であろうと思う。

その意味で交通費と食費は原則全額、そして宿泊費についても一部補助するというレベルの手厚さが必要ではないのか。

確かに、食事の提供は課税対象になりかねず、賃金の現物支給だとの指摘を受けるかもしれない。しかし今後の高齢化社会の到来まで見据えれば、ボランティアに対する食事提供や地位保全に関する法整備は絶対に必要となる。ならばこれを機に、そろそろ着手した方がよい。

「おもてなし」というものは、もてなす側に余裕が必要だ。1日8時間で最大連続5日、さらに研修も必要なのに宿泊費も無しで、比較的物価の高い東京で食事も自腹。この募集には、さすがに頭を抱えてしまう。

日本の「おもてなし精神」が、諸外国にゆがんだ形で伝わりはしないかと、心から危惧する。

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