老いと傲慢

列車を降りると、エスカレーターの乗り口に降車客が集まる。皆が譲り合って順序良くエスカレーターに乗り込むのだが、必ずしもスムーズに事が運ぶわけではない。

先日、東京メトロ南北線の王子駅で下車したところトラブルが発生した。20代の会社員とみられる青年と初老の男、二人がボクのすぐ前のステップに立とうとして押し合いになった。

人の流れからすれば青年がまず乗り、初老が1、2歩下がって乗ればよいものを、青年が自分の前に割って入ることに初老が憤慨したようだ。

初老は聞き取りにくいが大きな声で、青年に向かって何やら罵声を浴びせるが、青年側は我関せずで無視を決め込む。初老はそれがまた気に食わないらしく、前に立つ青年の足を蹴り始めた。見るからに「ドキュン」な感じの初老。とうとう足だけでなく手まで出して、青年にさらなる危害を加え始める。さすがに青年も振り返って反論を始めた。

青「いま手、出したろ! 警察呼ぶぞ!」
老「出してなんかない! 何様のつもりだ!」
青「いま手出したじゃないか!」

ここでボクが口を出す。

ボ「あなた今、手出しましたよね。私見てましたよ」
青「ほらみろ!」
老「…」
ボ「先ほどの件も、上の彼は悪くないと思いますよ」
青「そうだよ、あんたが割り込んだんだろうが」
ボ「私にも、あなたが割り込んだように見えましたよ」
老「なんだよ、お前は関係ないだろ…」

と初老は吐き捨てるように言うと、小走りで去って行った。

最近思うのだが近年、60歳以上とみられる年配者の素行が著しく悪い。もちろんすべの人がということではなく、素行の悪い年配者の姿が 「妙に目につく」 という言い方のがよいかもしれない。彼らバブル期を社会人として過ごした世代は、店員にも横柄な態度をとりがちだ。いったい何がそうさせるのだろうか。

最近の若者は「ゆとり」、「さとり」などと揶揄すされることも多いが、素行面をみれば年配世代よりはるかに良い。斯く言うボクも、そのうち言われるのかもしれない。10年後、「第2次ベビーブーム世代は、本当にクズばっかり!」などと言われないよう、今からでもせいぜい精進しておこう。

kon.T

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